「サルシカ隊、筏レースに出る⑥」第134回サルシカ隊がいく

投稿日: 2011年08月07日(日)08:26

戦いの火蓋は今まさに切って落とされた!
ときは平成23年7月30日、場所は三重県北牟婁郡紀北町海山町の引本港!
夏祭りKODOのいかだレースがはじまったのだ!

第1レースに出艇するのは、ペットボトルを網で包んだサルシカ3号!

右翼前方漕ぎ手、岡田大工さん!
右翼後方漕ぎ手、隊長オクダ!
左翼前方漕ぎ手、ムネちゃん!
左翼後方漕ぎ手、キヨちゃん!

以上4名の中年の獅子たちが、いざペットボトルの船に乗り込んだ!!

が、ここでトラブル発生!!
一番最初に乗り込んだ隊長オクダが、いきなりバランスを崩して海へ落ちる!

ペットボトルを網で包んだサルシカ3号は、つかむところこそたくさんあるものの、足をかけたり、上半身を乗り上げるには喫水が高すぎる。
で、網を持ってよじのぼろうとすると、すでにいかだにのっていたキヨちゃんやムネちゃんが、

「あ、動く動く!バランスが崩れるからやめろ」
「来るな!来るな!」

と、パドルでワタクシを突き落とそうとするのである。

これが隊長に対する行動であろうか。
ワタクシの隊長としての尊厳とか威厳のまえに、生きとし生けるひとりの人間として、いま自分が浮かぶその海より深く考えさせられたのである。

が、そんなワタクシの悲しみに関係なく、明るい声でトゲある発言を繰り返す実況中継DJの男女ふたりは、

「えー、ペットボトルのサルシカ3(さん)、もうこれはただの賑やかしですね~、スタート地点につくことすらできませんよ~、早くしてくださいよ~」

と、海に響き渡る大音響で言うのだ。
そして岸で応援してくれている観客の方から笑いが沸き起こっているのだ。

正直に告白すると、
まさか総製作費0円の、思いつきだけでつくった「ペットボトルいかだ」の浮力がこんなに強いとは思わなかったのだ。
乗り込むと同時に我われはバランスを崩しまくり、海に落ちまくり、スタート地点に辿り着く前にリタイア・・・。
ま、そんな感じだろうと思っていたのだ。

が、ペットボトルいかだは一度乗り込んでしまうと、とてもバランスがよかった。
ワタクシたち体重80キロオーバーのおっさんをやさしく包み込むようにホールドし、身動きすらできない状態になっていたのだ。

鳥人間コンテストでいえば、飛び立つと同時に落ちる・・・・という役割を担って登場したにもかかわらず、非情にもペットボトルいかだは沈むこともなく、誰ひとり落とすこともなく、なんとかスタートラインにまでたどり着いてしまったのだ。

で、「プワ~~~ン!」というスタートのホイッスル。
4隻のいかだが一斉にスタートした。

ムネちゃん「え、漕ぐの!? わ、わ、どうしよう、はじまってしもたあ!」
キヨちゃん「アカン!とりあえず漕ごう!右や右!」
隊長「ちゃうちゃう!左や左!」
岡田大工さん「はう!はう!(懸命に漕いでいる)」

そもそも前に進めようとか漕ごうなどと考えて作られた「いかだ」ではないのである。
いかに沈み、落とし、笑わせるかがミッションの「いかだ」だったのである。

漕げども漕げども「いかだ」はわずかにしか進まず、他の「いかだ」はあっという間に小さくなっていってしまう。

80メートルのブイの半分も行かないところで、すでにターンしてきたチームとすれ違う。
しかも相手は学生らしき男女。
かけ声もさわやかに、スイスイと漕いでいくのだ。

一方のおじさんたちは悲惨である。
黒タイツは暑く、全身汗にまみれ、ブヒョーブヒョーブヒョーと、とても人間とは思えない声を発しながら、ただひたすらにパドルを振り回すのである。
しかし、進まないのである。

魚市場のスタンド前をみんな手を振りつつ、横切っていく。
応援チームが通る度に、「おおおおおおお!」と大きく盛り上がる。

が、我われのペットボトル号は、ようやくブイを回ってもスタンド前になかなかたどり着かない。
もうその頃には他にチームはほとんどゴールしていて、遠くで歓声が起こっていた。

そしてようやく魚市場スタンド前に入る。
サルシカ隊の他の面々、地域のみなさんが、本当に大きな声援を送ってくれる。

我われ黒モジ君4名は、少し感動しつつ、手をあげ、それに応える。

が・・・・。
我われは遅いのだ。
本当にカメのように遅いのだ。

なかなかスタンド前を通りすぎないものだから、どんどん声援が疲れてくる。
どんどん声が小さくなっていくのがわかる。

しかもまた放送で、「もう拍手をするのも疲れましたね~、サルシカ3(さん)はよゴールしてくださいよ~」などというのだ。

必死に漕ぐ黒モジ君4名。
男の維持とかプライドとかそういう問題ではない!

第2レースの進行が遅れてしまう、スタッフの人も観客もイライラしはじめる・・・・「そうなるまえになんとゴールをしなくては!!!」というもう小心おじちゃん状態だったのだ。

みんなは2分から3分でゴールしているのに、我われは10分・・・・。
まさに地獄の10分であった。

ゴールした途端、虚脱して動けなくなる。
が、第2レースが控えているスタッフのみなさんは「早くこっちこっち!」と容赦なく誘導する。

そしてヨレヨレといかだから降りたら、一息つく間もなく、ペットボトルいかだが引き上げられ、

「はい、これを持って元の場所に戻ってください!早く早く!」

夏祭りKODOのスタッフのみなさんの名誉のために書いておくが、実際、スタッフのみなさんはすごく親切で一生懸命にやっていた。
まさかこんなに遅いチームがいるとは思いもしなかったであろう。
しかもしょっぱなから進行を乱すとは・・・・。
ここで謹んでお詫びすると共に、来年もぜひお願いするのである(笑)。

さて、サルシカ3号は見事に惨敗であった。
しかし、本気のサルシカ1号は一味も二味も違うのだ。
次回につづく!!